【スマートものづくりエキスパート育成スクール取組】まとめ
はじめに
これまで全10回にわたって、
鳥取県産業振興機構様が企画された「令和3年度スマートものづくりエキスパート育成スクール」での
弊社の改善活動の取り組み内容をご紹介してきました。
これまでの結果をまとめます。
結果
・ラズパイ
工程ではラズパイ3を使用していましたが、処理時間を大幅に短縮できたことから
ラズパイ4に変更しました。
・解像度
フルHD(1920×1080)とスコアが下がることなく処理時間を短縮できたことから
解像度を800×480に落としました。
・画像フォーマット
カメラから取得したままの生データ、”jpg”、”png”、”bmp”フォーマットで比較したところ
大きな差が見られなかったことから、処理時間を考慮して
生データを使用することにしました。
・画像処理
グレースケール化を行いました。
スコアが上がり、処理時間を短縮することができました。
・検出率向上対策
OCRでは大文字と小文字を区別して判別することから、
識別番号の先頭文字「TCS」の検出部分で、小文字でも検出できるようにし
検出率を向上することができました。
以上の結果より、
処理時間: 2.27秒
検出率: 77.27% (スコア100点でOK判定)
を達成することができました。
今後の課題
検出率95%以上を目標に、さらなる向上のための処理を行います。
・判定方法の改善
先頭文字「TCS」の部分の対策は行いましたが、
スコア100点を取れなかったデータも解析してさらなる改善に取り組みます。
・画像処理の検討
グレースケール化したものからさらに、ノイズ除去や2値化などの画像処理も検討を行います。
・Google Cloud PlatformのOCRサービスの使用
より検出率の高いOCRの使用を検討します。
所感
Tesseract OCRを使ってみて、予想以上に認識していたので驚きました。
認識対象への光の当たり方によって認識に影響が出たので、
外光の影響を受けないようにすること、照明の検討は必要だと感じました。
撮影ボックスを製作して外光の影響を受けないようにしていましたが、
毎回安定して同じ結果を得ることができるとは限らなかったので
写真撮影はとても重要だと感じました。
画像フォーマットの比較実験で、
圧縮処理を行わない”bmp”フォーマットの認識率が高いと予想していましたが
圧縮している”jpg”フォーマットの方がよい結果になったのは予想外でした。
“jpg”フォーマットは写真画像に使われているので、画質は思ったよりも劣化しないのかと思いました。
まとめ
改善活動の取り組み内容をご紹介してきました。
Python、OpenCV、画像認識を使用したこと、
安価なwebカメラや100円ショップの箱を使用するなどコストをかけずに導入したこと、
3Dプリンタを使用してオリジナルの撮影環境を製作したこと、
検証用のGUIアプリや、データを収集し解析するためのExcelツールを使用したりと様々な要素を取り込みながら進めることができました。
もともとあったカメラの撮影システムを利用することで、より効率的に改善活動を行うことができました。
「スマートものづくりエキスパート育成スクール」での改善取り組み活動は以上ですが、今後も引き続き改善活動を続けていきたいと思います。
IVI地域アワード2021にて奨励賞受賞
IVI地域アワード2021にて奨励賞を受賞いたしました。
「磁気カード書き込み工程におけるカード種別正誤判定方法の改善 ~文字認識を使ったカード自動判定~」 受賞理由:全体的にToDoの手本のような取り組みで素晴らしく、 科学的な解析を行う姿勢は高く評価できます。実装のためには、これから さらなる実験を重ねる必要がありますが、自前でできることから始めているため 今後の展開が楽しみな事例です。
バックナンバー
【スマートものづくりエキスパート育成スクール取組】(1) 文字認識やってみる
【スマートものづくりエキスパート育成スクール取組】(2) 撮影環境の準備
【スマートものづくりエキスパート育成スクール取組】(3)カメラ画像を取得
【スマートものづくりエキスパート育成スクール取組】(4) 文字認識TesseractOCRやってみる
【スマートものづくりエキスパート育成スクール取組】(5)文字認識の検出をスコア化
【スマートものづくりエキスパート育成スクール取組】(6)文字認識の処理時間
【スマートものづくりエキスパート育成スクール取組】(7)処理時間の検討
【スマートものづくりエキスパート育成スクール取組】(8)画像フォーマットによる比較