IoT導入のポイントは?メリットや注意点、導入事例も紹介
IoTの導入を行い、業務の効率化を行う企業が増えています。しかし、IoT導入とは何をすればいいのでしょうか?
当社が実際に体験した事例からIoT導入の課題やメリットについて解説します。
IoTとは
IoTとは「Internet of Things」の略称です。
当社では、「これまでの仕事のやり方を通信・センサーなどの技術を使用し、より快適、効率アップにつなげる一つの手段であり、お困りごと・問題を自分たち(企業)で見つけ、その結果を見えるようにし改善活動を継続させる為の、一つの生産工程のツールである。」
と定義しています。
IoT導入を進める中で出てくる課題
IoT導入する前に必要なこと
① 現状把握
最初にやるべきことは自社の現状把握になります。
会社や現場が今どうなっているのかがわからないと、目標ややりたいことの明確化が難しくなります。コンサルティングで現状の問題の洗い出しもお手伝いします。
② やりたいことの明確化(目標、ターゲット)
やりたいことを明確化することで、優先度の設定や仕様の作成時の指標になります。
「IoTを使って進捗を管理したい」「手書きの帳票をなくしたい!」など、現状で少しでも負担になっていることがあればすべて上げてしまいます。
③ 担当者の設定
自社の現場改善になる為、推進者を立て進めていく必要があります。
推進者がいないとやることがまとまらなくなる可能性があります。当社の今までの経験では、主に部署のリーダーとなる人物が担当することが多いです。IoT導入するためにはリーダーを巻き込みましょう!
④ 決裁権者の参加
進める上で費用も発生します。決裁者にも参画してもらい必要性を理解してもらう事が必要です。
社長や部長なども巻き込んでIoT導入を進めていきましょう。
⑤ 社内コンセンサス
時には部署間、工場間で改善活動を行う事になるため、社内の理解を得る必要があります。
部署間、工場間が違うと同じ会社でもルールが全く違うといったことがあります。部署間、工場間だけではなく会社全体で取り組むイメージが必要です。
⑥ ボトムアップからのトップダウン
現場から改善要望を上に提案し、会社上層部から全体への指示を出すとうまく社内を動かすことができます。
問題についてよくわかっているのは現場なので、現場からの改善要望は”今”直接困っている問題になります。現場からの改善要望に対して、その部署内で解決するのではなく、全体を巻き込んで解決するために上層部からの指示があるとうまく改善できます。
⑦ 仕様の確定
システムの仕様は途中で大幅に変更となると、開発期間が伸びる場合や別費用が発生する場合があります。
仕様は検討の段階で確定させることが一番重要となります。よくあるのは、仕様が固まらないまま取りあえずでIoT導入を進めていってしまい、いつまでも終わらないプロジェクトになってしまうことです。
IoT導入する前の心構え
① 社内での意思統一
IoTシステムによっては部署間を跨いで様々な人がプロジェクトに参加します。それぞれ立場や考え方が異なるため、IoT導入を進める上で社内での意思統一は必要です。定期的に打ち合わせを実施し、社内での意思統一を行いましょう。
② 現場担当者からの反発
どうしても新たなシステムなどを導入しようとすると、現状を変えたくないと考える方々もおられます。今までにはなかった入力作業が発生したり、自分に効果が少なかったりしてシステム導入が手間だと感じてしまうからです。
確かに導入時には作業者への負担が発生しますが、導入の意味をよく説明し理解してもらう事が重要です。導入前の確認で現場意見を反映する事も重要です。
③ 即効性がないことへの理解
IoTシステムはデータの収集、蓄積が目的になり、導入した直後には効果を実感しにくいです。IoTを導入したところで生産効率や不良率が急激によくなることはありません。
しかし、最初にどのようなデータ、変化を見たいかをイメージしながら進めると見えていなかった情報が見えてくるようになります。多少時間はかかりますが、IoTシステムで今まで見えていなかった情報を集めることで生産効率の増加や不良率の減少につなげられます。
④ ツールであり使い方次第
IoTは、各現場のデータを集める一つの手段です。
つまり、IoTを導入しただけでは作業効率の改善を図ることはできません。集めたデータをどう使うのか、何を見るのかを最初の現状把握から出された問題点と結び付けて確認すると、より現状と改善効果が明確に見えてきます。
IoT導入プロセスの中の課題・注意点
① 作業者負担軽減
IoTシステムを導入することによって作業者の負担が増えては意味がありません。必要な作業と軽減できる作業を切り分け、作業者の負担を減らすようにシステムを構築しましょう。
② スモールスタートで進めていく(いきなりすべてをカバーはできない)
初めから全ての問題を一度に解決しようとすると必ずどこかで無理が生じます。
IoTは会社全体の取り組みになるので影響範囲が大きく、すべてできるまで続ける方式をとると終わらないプロジェクトになってしまいます。範囲を区切って段階的にIoTシステムを導入することをお勧めします。
③ 途中経過を確認しながら進める
IoT導入をしても、思ったようなデータが取れない事があります。IoTのデータは実際に取ってみないと分からないことも多く、その場合は、もう一度データ取得方法、入力方法などを確認する必要があります。
そのため、途中経過を確認しながら、ステップを踏んで進めましょう。
IoT導入のメリットやもたらす効果
ここからは、IoTを導入するメリットを「管理者側」と「作業者側」に分けてお伝えしていきます。
企業側(管理者側)のメリットや効果
作業の効率化&コスト削減ができる
IoT導入で単純作業の自動化や必要のない作業を短縮することで効率化が可能です。例えば帳票の集計作業などを自動化することができます。
作業の効率化により作業時間を短縮でき、残業時間が減るなどコスト削減が見込めます。
目標に対しての達成値が確認できる
目標に対しての現状比較が数値で行えるようになります。
データを蓄積&活用できる
IoTシステムによりデータを収集&蓄積し、得られたデータを活用することで、新たな問題点の発見と改善に利用できます。
例えば、機械稼働時間を収集・蓄積することで、機械停止理由の分析を行い、生産効率改善を試みることができるようになります。
現場・作業者側のメリットや効果
現場状況が見える化できる
機器のデータを取ることで、現場全体が今どうなっているのかがすぐさま確認できます。機械の状態をパソコンや個人のタブレットなどで確認できるようになるからです。
現場で1つの機械に張り付く必要がなくなり、遠くの場所にある他の機械も担当することができるようになります。
予知保全が可能に
設備の不良発生前後のデータを取得することで、不良発生の可能性を予測可能になります。当社では、振動センサーを使って不良発生前に機械が摩耗したことによって起こるわずかな違いを感知し、通達する仕組みを開発しています。
手書き作業削減による負担軽減
作業日報の手書きやショット数の記録などを自動化することで作業者の負担を軽減します。特に当社では、機械の稼働・停止状態から「作業者の作業(段取り)時間」と「機械稼働時間」を自動で分け日報を作成するシステムを開発しています。
すぐに効果は見えづらいですが、今IoT化に取り組むことで、2、3年後には強い会社になると考えております。
IoT導入事例
ここでは、当社が実際に行った導入事例をご紹介いたします。
【製造業】寺方工作所様のIoT導入事例:お客様の声
金属部品製造を行う(株)寺方工作所様のIoT導入事例のご紹介です。(株)寺方工作所様は「機械稼働状況の見える化」と「作業進捗の見える化及び作業者日報のデジタル化」に取り組まれました。
今回は金型製造部部長の山田様にお話を伺い、お困りごとと、そのお困りごとに対する取り組みについて、前編と後編の2記事に分けてご紹介しています。
その他のIoT導入事例一覧
IoT導入後に発生しうる問題
旧システムと新システムが混在する期間が発生する
IoTシステムを導入する前に動いているシステムがある場合、その旧システムと導入する新システムが混在する期間が発生します。これは新システムが問題なく使用可能かの検証期間を設けているためです。
スモールスタートでステップを踏みながら徐々に新システムに切り替えることで、新システムへのスムーズな移行が可能です。
入力忘れ
導入直後は操作に慣れていないこともあり、入力忘れが頻発する場合が多いです。
当社のシステムでは、入力がない場合のリマインド及び警告を表示するようにしています。こうした入力忘れ防止機能を付けることで、入力忘れを減らすことは可能です。
導入したシステムに詳しい人しか使えない
導入したシステムが特定の人にしか使えないものになってしまうと、その人が不在の場合にシステムが止まってしまいます。
対策としては、導入時に操作説明会を行い、操作マニュアルを納入しております。
デバイス管理、ログの保管が重要
デバイスを使う場合は故障に備え、どこでどういった使い方をしているかまとめておくと安心です。
当社ではさらに、いつ、どのような原因で故障したかがわかる用に定期的にログをとる仕組みを採用しております。
システムトラブル時どうしていいかわからない
システムトラブル時、お問い合わせをいただくことがございます。
システムトラブルが発生した場合、システムについてある程度把握している人がいると、復旧までの時間が短くなります。当社では操作マニュアルの納入及びシステム構成についての説明をしております。
支援サービス
当社では、中小企業者様にとって使いやすいIoTツールの開発・提供、導入支援を中心に行っております。
何に取り組んだらよいのか、どう取り組んでいけばいいのか分からない企業様も多く、コンサルティングからカスタマイズ対応など柔軟に関わらせて頂いております。
データベース作成
各社が既に持っているデータを使用し、データベースを作成します。
基本各社で新規、変更などのデータ修正ができるようにしています。
データ集計、分析
取得したデータを利用し、ご要望の見える化を行います。
CSV出力もできる為、出力後自由に変更する事も可能です。
新規システムの作成
お困りごとに合わせて、一からシステムを作成いたします。
当社が持つベースツールを使用し、お客様のご要望に合わせ、短期間で導入が可能です。
当社製品のカスタマイズ
当社の製品をお客様の現状に合わせてカスタマイズいたします。
帳票整理
作業手順書や作業計画をデジタルで管理いたします。
変更履歴の管理を行うことによって資料の巻き戻りを防ぎます。
既存システムとの連携
以前からあるシステムと組み合わせて使えるようにシステムを構築可能です。
お困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。